湯どうふ

学術指導:産学連携の一形態

学術指導とは企業が大学の教員に学術的な意見をもらうための枠組みである。大学によっては学術コンサルティング、学術相談ともいう。平成20年ごろ、産学連携の新しい手法として誕生した。近年では、国内多くの大学で制度が導入されている。ネットで調べたところ、少なくとも以下の大学で確認できる。


北海道大学帯広畜産大学小樽商科大学室蘭工業大学弘前大学八戸工業大学東北大学新潟大学山梨大学前橋工科大学筑波大学東京工業大学東京農工大学麻布大学名古屋大学名古屋工業大学滋賀県立大学・滋賀医科大学京都大学京都工芸繊維大学京都府立大学京都府立医科大学大阪大学大阪市立大学大阪工業大学広島大学山口大学九州大学九州工業大学


従来からある技術指導の場合、教員は兼業届を大学に提出しなければならない。兼業、つまり本務ではないので、教員は学外で指導しなければならない(例えば[1])。技術指導の場合は、学生指導・学内業務を行う上での時間的な支障となること、兼業であるため様々な制約があることが課題であった。

なお、「技術指導」の用語については、各大学によって異なる場合があるため注意が必要である。例えば、「学術指導の内容として技術指導を行う」と表現している場合、本務であるので兼業届は不要である。技術指導よりもさらに程度が進む、共同研究・受託研究の場合はさらに手続き等々が大変なものになる。

一方で、学術指導では、教員が本務として、学内で企業に指導することができる。指導を希望する企業は大学を経由して手続きすることになる。多くの大学では産学連携本部などの名称で、学術指導の窓口が存在する。コンサルティング費用の相場は明示されているケースは少ないが、1時間当たり1万円以上としている例が複数ある(帯広畜産大学京都大学九州大学など)。

近年、各大学は学術指導の制度を急速に整備してきた。学術指導は従来の産学連携の手法と比べて、教員と企業の双方が利用しやすい制度として設計されていることは一つのメリットである。しかし、何よりも重要なことは企業が大学に支払う経費の一部を間接経費にできることであると思う(例えば[2])。共同研究・受託研究として大学に持ち込まれるまでもない案件を取りこぼさない、あるいは共同研究・受託研究を行ったことのない企業が手始めとして学術指導を利用するといった産学連携の広がりを大学当局は期待することができる。学術指導を契機として共同研究・受託研究にまでつながれば、大学としては間接経費を増やすことができて幸せなのである。

課題としては、学術指導に限った話ではないが、教員が忙しすぎて、学術指導にまで手が回らないことが挙げられる。教員の時間価値を考慮すると、学術指導の相場は時間1万円では収まらないのではないかと思う。


[1]https://www.sangaku.titech.ac.jp/system/lead.html

[2]http://www.obihiro.ac.jp/company/shidou.html