湯どうふ

国家公務員総合職試験(工学)の合格体験記

私は大学生のときに、国家公務員総合職試験(工学)を受験し、なんとか合格しました。学卒区分での合格でした。しかし、受験の途中で別の進路に興味を持ったため、官庁訪問には行っていません。その後、2年間資格を保持しましたが、それでも官庁訪問には行っておらず、そのまま資格は失効しました。なので、以降の文章は官庁訪問以降の話は含まれません。純粋に、官庁訪問の資格をとるまでの記録です。

私が公務員試験を受験した当時、一般教養の試験は4月の下旬ころでした。特に、技術官僚になりたいと強く志していたわけではないので、勉強に対するモチベーションも低かったです。でも、なんとなく将来が不安だったので、受験しようと思いいたりました。

勉強自体は3年生の後期の期末試験が終わってからなので、2月の中頃から始めました。文官とは異なり、技官は大学での勉強をちゃんとやっていれば、なんとか大丈夫という話はうっすら聞いていました。なので、勉強開始時期はかなりぎりぎりでした。まず、過去問を手に入れないとだめなので、人事院の情報公開請求を利用して、過去問を請求しました。2000円くらいだったと思います。請求できる限りすべての年次の問題を請求したと思います。

初めて、問題を解き始めて、これはやばいなと思いました。思っていたより、勉強しなければならない科目の数が多かったからです。工学の専門科目は30くらいある中から、自分のできる問題を選ぶ形式になっています。なので、勉強しなければならない科目の数はかなり多いです。

私は数物科目が苦手で、暗記が得意だったので、過去問を暗記すれば解ける科目に注力しました(のちにこの作戦が裏目となる)。真剣に分析すればだれでもわかることですが、専門科目の出題はパターン化しています。特に、制度や政策を問う系の科目では、おんなじ問題が数年おきに出題されたりします。私が選択した科目は、大学ではほぼ学んだことのないものばかりでしたが、ググったり、ウィキペディアを参考にしたりして、ひとつひとつ問題を理解していきました。その科目の教科書を読むのも有効かもしれません。特に、専門用語などが教科書にまとめられていたりするので、大学の図書館に行ってみるといいと思います。

あと頑張ったのは、一般教養の科目です。特に、数的処理が意味不明でした。畑中本などに取り組んで、出題パターンを事前に知っておくのが、公務員試験の正攻法なようです。私も不安だったので、畑中本を買って対策を始めました。しかし、対策を始めてもなかなかやる気がでません。知的好奇心が全く湧かなかったからです。あと、完全に公務員試験のための勉強をしているというのも、時間の無駄であるように感ぜられて(ならば受験しなければよい)、やる気が全くありませんでした。こんな試験を課しているから、ただでさえ数の少ない理系公務員志望者が民間に流れるのだ、などと偉そうなことを思いながら、それでも勉強をしました。

結局、畑中本の網羅度は2割くらいで本番を迎えてしまいました。数的処理で大事なのは、解けるか解けないかを判断する直感のようなものだと思いいたりました。むしろ、公務員試験で受験性に問うているのは、解ける問題を選ぶ力、要領よく生きる力なのではないかとさえ思います。

そのほか、国語、英語、算数、理科、社会みたいな科目がありますが、これらは対策のしようがなかったので、センター試験を受験した時の余力(4~5年前のもの)と運にまかせました。

専門科目であと頑張ったのは、工学の基礎(算数と物理をあわせたもの)です。これについてはとてもいい本があったので、ほぼこれだけを勉強しました。工学の基礎についてはモチベーションが高かったです。なぜなら、「工学の基礎」というだけあって、工学を学ぶ上で前提となるものなので、これができなければ、公務員になれないどころか、エンジニアにはなれないと思ったので、真剣に頑張りました。

 

技術系公務員 工学の基礎 攻略問題集

技術系公務員 工学の基礎 攻略問題集

 

 なんやかんやで、運よく1次試験に受かると、次は2次試験です。2次試験では記述試験と面接試験があります。私は1次試験を終えたあたりで、ほんの少し灯っていた公務員になろうという気持ちが急速に消え始めました。これと同時に、勉強に対するモチベーションも急速に低下しました。

先ほども述べたように、私は数物系科目が苦手だったので、暗記科目を1次試験で選択しました。しかし、残念なことに記述試験では、その暗記科目がありませんでした。なので、急遽数物系科目を選択せざるを得なくなりました。結局、工学系学生は数物系科目から逃れることはできないのです。急ごしらえの勉強だったので、結果はがたがたでした。モチベーションの低下に加えて、意味の分からない科目を一から勉強しないとだめだったので、とても気持ちののらない時期でした。なので、1次試験では仮に数物系が苦手だったとしても、数物系科目を勉強することを強く勧めます。そうすると、2次試験では、らくらくと勉強を進めることができると思います(実際に、まわりの普通の人たちは、そんなに苦しそうには勉強してなかったようにみえました)。

記述試験本番は、もう無理だ、絶対受からないと思って、会場に行きました。でも、これまでやってきたので、悪あがきのつもりで、解答用紙をできるだけ埋めようと頑張りました。

記述試験を受けていると、途中で面接試験の日時が書かれたはがきをもらいました。つまり、記述試験の結果を問わず、面接には行かなければなりません。私はこれまで生きてきた中で、バイトを含めて、面接というものを受けたことがなかったので、人事院面接が初面接でした。面接というか人と話すのは大の苦手なので、とても緊張したことを覚えています。公務員試験面接の参考書なんかも買って対策しました。頭が真っ白になるタイプなので、典型的な想定質問に対して、ほぼすべてに回答を用意・暗記しました。それ以外の質問をされたら、万事休すの状態でした。

人事院面接は面接カード(だったか?)に沿って行われます。しかも、一つ一つの項目が2行ほどしかありません。つまり、2行の概要を膨らませるように、エピソードトークを展開しなければなりません。当時の私は、面接官に面白い話をすればいいのだとおもっていたので、なるべく興味を引くような、なるべく人とは異なるような、エピソードを選ぶようにしました(たぶん、正しい戦略ではない。人事院面接はちゃんとした人間かどうかを判定するための試験であり、面白い話ができるかどうかを試す試験ではないので、民間とは異なると思う)。

私の読み通り、面接官は私のエピソードをなぞってくれました。私の面接カードに書いてあった内容は、若干支離滅裂なエピソードだったので、普通の人間ならば「これどういうことですか?」と聞かざるを得ません。その質問に対して、さらに支離滅裂な返事を真面目な顔で、あたかも当然かのように話すと、さらに「それはどういうことですか?」と聞かれます。万事そんな感じで人事院面接は進みました(当時の面接官の皆さんすみませんでした)。

私が公務員試験で得たことは、計画的に物事に取り組むという経験です。数的処理の勉強は本当にやりたくなかったのですが、合格するためにはやらなけらばなりません。興味のないことでも、それをできるようにするために頑張るという経験を得ました。もう一つは、面接の経験です。これはとても大きな経験でした。生まれて初めての面接がいきなり人事院の面接だったので、とても緊張しましたが、おかげで面接になれることができました。大学院入試や民間を含む就職試験では必ず面接があります。面接ってこういうもんなんだ、面接のときはこんな頭の使い方をするんだ、という感覚を得ることができたのは大きな収穫でした。

あとお話ししなければならないのは、なぜ1次試験の後にモチベーションがなくなったのに最後まで受験したのかという点です。当時の私は学部4年生でした。社会のことも全く知らず、当然公務員がどういう存在なのかもよくわかっていませんでした。多くの人がそうだと思いますが、就職活動が現実のものとなって、初めて人は自分の将来、そして自分が身を置くことになる社会のことについて興味・関心を持つものだと思います。なので、日々私の中で情報が更新されており、昨日の自分の考えと今日の自分の考えが全く異なるという事態も頻繁におこりました。なので、公務員試験のモチベーションが下がったとしても、その間にいろいろな省庁の政策を調べたり、働いている公務員の方々のお話などを読んだりするうちに、自分の気持ちが変わってしまうかもしれないという思いがありました。将来の自分がどのように考えるのかは、現在の自分にはわかりません。なので、将来の自分の選択肢を狭めないためにも、今の自分が頑張ろうと思った次第です。

このように書くと、もっともらしいようにも見えますが、所詮後付けの話でしかありません。結果的に、モチベーションを回復はおこらず、私の公務員試験は合格通知をもらったときで終わりました(しかし、官庁訪問の権利はその後2年間延長した。さらに、2年後にも公務員試験をなぜか受験している。)。結局、私は現在公務員ではありませんし、霞が関に一歩でも足を踏み入れたことはありません。つまり、1次試験のときの自分の思いが今も続いているということになります。なぜ、公務員へのモチベーションが下がったのかという件については、また別に述べる機会があればと思います。

国家公務員総合職に私はなることができませんでしたが、大変崇高な仕事だと思いますし、これを真剣に目指している人には素直に尊敬します。なれる人なりたい人が公務に邁進していただければと思います。

 

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