湯どうふ

『雲を愛する技術』を読む

雲を愛する技術 (光文社新書)

雲を愛する技術 (光文社新書)

 

先週、出版された『雲を愛する技術』を読んだ。作者のことは、Twitterを通じて知っていた。いつもきれいな空の写真をツイートしてくれるのでうれしい。この本についてはTwitter上でかなり話題になっていたので、今日書店で購入した。

本書は、気象学の初心者にもわかりやすく、気象を解説している。雲を知るためには、気象学の基本的な知識が欠かせない。基本的な気象学の知識を身に付けたあと、いろいろな雲について知ることができる。雲のさわりを知ることができると、より雲のことについて知ろうと思うようになり、さらに気象学の背景を知ろうと思うようになる。

私は大学の一般教養で気象学のほんのさわりに触れたことがある。私は理系の学生だったので、力学的な内容の講義が続いたため、いろんな雲とか知りたかったと思っていた。

講義で指定された教科書は東京大学出版会から出ていた『一般気象学』だった。気象学では有名な教科書のようだが、専門ではないこともあり、真剣に教科書に向き合わなかった私にはよくわからない部分も多かった。「温位」の概念が私にとって新しかった。「温位」がとても重要そうだということは講義を通じてよくわかったが、結局「温位」とはなんなのか、あやふやのまま履修を終えてしまった。 

一般気象学 第2版補訂版

一般気象学 第2版補訂版

 

この本を読んで、やっとかつての講義においてたどり着けなかった知識にありつけたと思った。雲にはいろんな種類がある。多くの人はそれぞれの雲の名前を知ってはいるけれど、その背景などを知っている人はあまりいない。本書を読むと、雲とその名前を一対一対応で覚えるのではなく、雲の背景や周辺知識も踏まえたうえで、構造的に雲を理解することができる。

 ところで、本書の中に、雪の結晶についての記述があり、そこでは中谷宇吉郎について言及されていた。中谷宇吉郎は雪の結晶についての研究で有名である。同時に、師匠である寺田寅彦とともに、随筆家としても著名である。以前、岩波文庫の随筆集を読んで以来、氏の随筆を何度も読み返している。戦前・戦中・戦後を生きた科学者として、市井に語りかける姿は、今日の科学者のあるべき姿を示しているように思う。戦中・戦後の鉄道事情も随筆の中に記述されていて、とても興味深い。戦時中には、冬のニセコの山の中に小屋を建てて、雪と戦争についての戦時研究をしていたという話もいつかちゃんと調べてみたいと思う。 

中谷宇吉郎随筆集 (岩波文庫)

中谷宇吉郎随筆集 (岩波文庫)