『最適化と変分法』を読む

 

基礎系 数学 最適化と変分法 (東京大学工学教程)

基礎系 数学 最適化と変分法 (東京大学工学教程)

 

 『最適化と変分法』は丸善出版から出ています。題名の通り、最適化数学と変分法について書かれている教科書です。「東京大学工学教程」なので、工学のための本といえます。

結論から言うと、とてもわかりやすいので是非おすすめしたいです。おもしろいなと思う理由は以下の通りです。

  1. 図がたくさんあってわかりやすい
  2. 章の展開が独特
  3. 説明の深さがほどよい

以上について、順を追って説明します。

1.図がたくさんあってわかりやすい

この本は、最適化をイメージしやすいように、図をふんだんに含んでいます。私はあまり数学が得意ではないので、数式を見ていても途中から何の話か分からなくなり、すぐに頭が追い付かなくなってしまいます。特に、最適化の基本的な理論を理解する上では、単純な具体例による説明が極めて有効です。この本の中の図は、それを理解する上でとても役に立ちます。

私はこの本に出会うまで、何冊かの最適化の教科書と格闘してきました。いずれの教科書も数式展開が主です(あたりまえですが)。でも、出版時期が新しくなるにつれて、それぞれの教科書の図の数が増えている気がします。この理由として、1.コンピュータの発展により作図が容易となったこと、2.最適化数学の社会的な需要の高まりによって、私のような数学があやしい人間にもわかりやすい本をつくらなければならないという要請が生まれたこと、が考えられます。どちらにしろ、豊富な図によって理解を助けていただけることは、私にとってこの上ない幸せです。

2.章の展開が独特

私は最適化に興味があり、変分法についてはよく知りませんが、最適化に関していえば、この教科書の章の展開が独特だなと思いました。というのも、この本では、非線形最適化を先に解説した後に、線形計画法を説明しているからです。

多くの本では、この順序が逆だと思います。私は非線形最適化に関心があります。なので、これまでの教科書による学習では、線形計画法を解説した後に、非線形最適化にたどり着けるので、いつも途中で寝てしまっていました。そのため、冒頭からいきなり非線形の話を簡潔に説明してくれたのでうれしかったです。

非線形最適化を概説した後には、双対問題や凸解析が控えています。豊富な図によって引き込まれるように読み進むことができると思います。

3.説明の深さがほどよい

つまり、この本の説明は浅すぎず、深すぎずというところがいいと思います。私は道具として最適化を使いたいと思っています。また、数学に関する深い議論をフォローする能力も備えていません。だからといって、必要不可欠な内容については簡潔に確実に含まれています。なので、この本は今の私にとって、まさに適切な内容だったと思います。

 

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